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2007年05月22日

ザッツ・アグリカルチュラル・イノヴェーション

 その別荘地は、だいたい年収一千万〜二千万ぐらいの人たちに買われているようである。大企業の部長さん課長さん、中小なら社長さん、なんとか法人の理事長、大学教授といった肩書きの人たちである。多くは別荘として使っているが、私を招んでくれるシューちゃんは退職後定住していて、人が集まる五月の連休には、現地で仲間になった人たちに声をかけて宴会が催される。そこにちょっと毛色の変わったやつということで、私に招集がかかるのである。
 私が最年少。わが父より年上の某都銀元支店長さんは、ヨーロッパ勤務が長かったという。
「90年ごろのレートは1ポンド250円ぐらいでしたからねえ」
とシューちゃんと知り合ったころの話をすると、
「いや、150円ぐらいでしょう」
 私としてはかなり自信はあるのだが、往時為替ディーラーやってた人と言い合いなど出来ない。もしかしてボケ?なんて言えるはずもない。
 そこで私は発言の的を百姓仕事に絞る。昨今のブームも手伝って多くの人たちが村から土地を借りて菜園を営んでいて、自ずと農作業話に花が咲くのだ。そこでは私は見習いながら、経験者の立場からものを言う。
「いやあ、最近サトーさんと折半で管理機買ったんですよ」
「そうですか。あれってブレーキ無いから止まりずらいでしょう」
 けっこう難しいんですよ。
「いやまだ買ったばっかりでね。昨日ちょっと試し運転したところで」
「あれはですね、左右のレバーともクラッチなんですけども、手を放したままでは動かないで、握ると動き出すんですよ」
 まあ、もう二十年近く使いこなしている私にはその操作はお手の物ですが。
「いやじつはね、握ると動き出すっていうのは普通のバイクとかと逆だから危ないっていうことらしくてね、最近のはクラッチ握ると止まる仕組みなんですよ」
「そ、そうなんすか。べ、勉強しなおしますっ」
 さっきから口数少なく泡盛を生でクイクイ飲っている元支店長さんの奥さん。障害児支援団体を主宰するその菩薩的笑顔が目に染みる。

投稿者 shachi : 2007年05月22日 16:47

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