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2007年11月07日

カード、止められました。の続き

(前号までのあらすじ)
クレジット・カードを止められてしまったゆるやかな引き籠もり全太。カード会社に問い合わせるも、担当部署は激烈に混み合っているということで、先方からの電話を待つことに……。

 電話を切って、待つことさらに十分ほどかな。他のことを始めて、カードのことなど忘れかけていたところで、電話が鳴る。緊張気味の男性の声で、いきなり平謝りの連続。どういうことかというと、カード情報を含む私の個人情報が流出してしまった、という連絡が丸善からあったそうなのだ。で、慌てて、カードを停止させていただきました、とのこと。本人(私)に連絡なくカードを止めるなんてことがありえるのか、と問うと、あってはいけないことで本当に申し訳ありません、という平謝りの連続に戻る。で、平謝りの合間に、本日、速達でカード番号変更の申し込み用紙を送る(「送った」ではない)のでそれに署名捺印して送り返せ、と言う。そうしたら、一週間から十日程度で新しいカードを送ります、とな。その間、私はどないしたらええのん、と尋ねると、当社のカードは使えません、というわかりやすい回答。お宅のカードから自動引き落としになっているものもいっぱいあるんだけれど、そういうのはどうなるの、と尋ねると、お客様の方で、個別にお取引先の各社様に御連絡下さい、だって。ISPや電話やらレンタル・サーヴァやら、十件近くあるんだけどね。やってられんよ。
 一応、合間合間には、誠に申し訳ありません、という言葉が挟まれてはいるのだけれど、だんだん耳も麻痺してきて、心が籠もっているようには全く感じられない。先方の心だって麻痺して、ただ呪文のように繰り返しているだけに違いない。
 ちなみに、この連絡もないままにカードを停止する乱暴な会社は楽天カードというところ。ソフトバンクとか楽天とかUSENとかライブドアとか、そんなのを使っているから、痛い目に遭うんですよ。あなたは阿呆ですか……とK川が嬉しそうに言う姿が思い浮かぶ。あーあ。

 壊れた機械のように「申し訳ありません」をループする彼に、これって私だけですか、と尋ねると、丸善さんからカード情報までが漏洩してしまったのは十数万件(!)ですので他にもたくさんいらっしゃいます、というようなことをもごもごと呟くように教えてくれる。考えてみりゃ、カード会社も被害者の一部であるような構図なわけで、謝り続ける彼に少しは同情したくもなるけれど、だからと言って、本人に連絡せぬまま止めるなんざ、酷いよね。
 仮に、私が海外旅行中だったらどうなってしまっただろう。パリの街角で現金がなくなり、カードは止められてしまった。二進も三進もいかなくなり、気がつけば、裏通りで物乞いをする破目に。右や左の旦那様、とやっているところに、粗暴な白ギャルソン群が通りかかり、この腐れアジア人が臭えんだよ、なんて蹴られたりして、あひぃあひぃ、やめてください。嗚呼、神よ、私が何をしたと言うのでしょう、と天を怨む身の上に陥ることだって、ありえなくはない。
 あるいは、ホテルの最上階でマンハッタンなぞを傾けての顧客接待の場面。カードで支払う心積もりで何杯も何杯も、つまり財布の中身の何倍も呑んでしまっていたりしたら、どうなるのだろうか。泥酔するのは確実だが、それだけではない。いやいや、今日は私にご馳走させて下さい、なんてんで、カードを差し出すと、向こう側で蝶ネクタイが少しばたばたした挙げ句、お客様、大変申し訳ないのですが、このカードは使用不可になっておりますので、現金か他のカードでのお支払いをお願いします……なんてことになったりして、折角の酔いも醒めますよ。
 いやあ、ゆるやかな引き籠もりで本当に良かった。おかげで出先でのトラブルに巻き込まれずに済みました。それにしたって、インクを注文した文房具屋さんに、あの全太ってやつ、カード止められてやんの、うひゃひゃひゃひゃ、などと笑いものになっているかもしれないわけで、少しく名誉が傷つけられている可能性は否定できない。ま、いいんだけど。

 とにもかくにも、丸善からは何の謝罪もない。念の為に、ホームページを確認してみたら、クロールに残さないための対策なのか、PDFの書類がちっちゃく用意されているばかり。それをダウンロードして読んでみると、データベース管理を外注した先のNTTコミュニケーションズが悪いんだよ、と暗に言い訳しているようにも読み取れるような文章。丸善よ、本当に地に落ちたな。こういうのを隠蔽体質、責任逃れ、と言うのではないのかね。
 私が丸善の経営者だったら、何万年かかっても、お客様一人一人へのお詫びの行脚に出ますよ……ってのはさすがに無理だろうから、せめて、丸善とNTTコミュニケーションズの連名で詫び状を出すぐらいのことはするね。ウェブ上のちっちぇえPDFで謝ったつもりなんて、客をばかにするにもほどがある。真当な詫びがあるまで、丸善からは何も買わない、と決心しておる私です。まじです。

投稿者 zenta : 2007年11月07日 01:02

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コメント

カードなんか持った事もないから、Z君のトラブルのいきさつが、もうひとつよく分からんが、「アンナ・カレー二ナ」ばりの大作での苦情から見て、どうも丸善が生意気らしい。(違ったらゴメン)
かくなる上は日本の青春芸術派の伝統に則り、今回私めが丸善の本棚に檸檬型のバク*ンを...。

投稿者 guffaw : 2007年11月08日 08:44

K川です。

zentaさん、それは災難でしたね。
ともあれ、勝手にお金を使われたとかの面倒な事件に巻き込まなかったのは幸いでしたね。

とは言え、ふふ、楽天カードですか。
だから言ったじゃないですか、ソフトバンクとか楽天とかUSENとかライブドアなんて、クズの集まりですよ。本当にアホばっかり。即、逝ってよし。

Vodafoneからソフトバンクモバイルに変わっても、そのままつい使い続けてしまう、その優しさが仇になりましたね。私がもしVodafoneユーザーであったならば、即auに乗り換えているところです。
次は、ソフトバンクモバイルで、zentaさんを激怒させるような事態が必ずや起きることでしょう。

そう言えば、先日のソフトバンクモバイル事件ですが、ゲイツ君でも取り上げてくれました(2007.09/25番外編)。それから、某ジャーナリストにも情報を流したのですが、そこでも取り上げてくれました。
やはり、IT成金の親玉とも言えるソフトバンクには、多くの人々が不信感を抱いているようです。

投稿者 K川 : 2007年11月08日 21:18

とんだ災難でしたね。カード会社もいきなり停めて連絡なしとは・・・クレジットー=信用じゃぁねえんですかいな?
>仮に、私が海外旅行中だったらどうなってしまっただろう。
家人の友人はカードも取得せず、インド方面へ旅行に行って、有り金を遣い果たし、現地でバイトをして帰国したらしいですよ。

投稿者 flint : 2007年11月10日 04:01

 そう言えば、私の友だちにも強制送還で返ってこさせられた人物がいたのを思い出した。

投稿者 zenta : 2007年11月12日 12:47

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