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2005年03月24日

050324

このところ集中的に打合せをおこない、模型をつくり図面をつくり検討を重ねている。おおよそ案はまとまり、四月はじめの提出に向け、プレゼンテーションの準備に入る。図面と同様に、パネルに載せる文章が大切である。両者が補完して計画全体の深みが増す。余談だが、欧米、特にフランスでは、設計図書とは、基本的に設計内容を詳述した文章を指し、図面はそれを補うものだということだ。まこと言葉の国フランスらしい。明日もまた、世田谷パブリックシアターに乗り込み、最後のチェックをするつもりである。パースも少しできはじめている。提出一週間以上前にして、これだけすすんでいるのは、コンペとしては大変に上出来である。いつもは最後までばたばただから。
夜、テレビで厳島神社の海の舞台や五重塔、白川郷の話が放送された。主題は、自然と人工が出会うということ。人工的な建物が工法や部材の組み合わせ方を工夫することで、自然の強力な力をどのように逃し、建物自体やその大切な部分を保持してきたか、それぞれに例示をとり具体的に説明してくれた。海の舞台は、舞台の床板を固定せず、大きい波によって上下に動き柱と摩擦を起こして波のエネルギーを吸収して、奥の本殿を守る構造となっているという。五重塔は、芯柱という新しいコンセプトを持った建築要素を考え出すことで、地震力を打消している。技術的にどうやって問題を解決するかを、丁寧に説明してくれることで、単に空間が開放的であるとか、柱と梁の架構が建築をつくるなどと言うこと以上に、ひとびとが自然と近い距離にいたということがよくわかる。まこと、先人の知恵は大いなるものであるなどという以上に、近代において打ち負かす対象となってしまった自然が、本来は人々の生活そのものにかぶさっていたということが大切なのだ。

投稿者 geta : 2005年03月24日 19:07

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