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2005年11月09日

オースターをまとめ読み

 この度の風邪は長かった。最初の三日ほどは、咽喉が痛くて痛くて、唾を飲み込むのにも苦しむほど。咽喉に意識が引っ張られるせいか、それ以外の症状は然程ではない。四日目だったか。少し治まってきたところで、N診療所に出向き、先生様に診ていただき、薬を頂戴する。咽喉の痛みは引いた。けれども、今度は、鼻水だ、咳だ、という普通の風邪に移行。いつぞやのインフルエンザのように、最早これまでか、というような、死ぬる思いをするということはないけれど、ああ、どうにもやってらんないよ、ってな状態がずるずる続いた。
 そんなわけで、寝込んでいるとはいえ、ヴィデオを見たり、本を読んだりをできなくはないというところ。で、オースターをまとめ読みした。家内がオースターを読んだことがない、というので、邦訳を購入しておいたのが、手近に転がっていたのである。

 他の人とオースター話をすると、微妙にずれを感ずることがしばしばあった。相手は、くぼやんだったり神山だったり。他にも何人か。ずれがあるのだけれど、お互いにオースター好き同士のことなので、まあ、大雑把な合意とアルコールの彼方に、擦れ違い気味の思いは消えていってしまう。でも、翌日になって……つまり、酒が抜けた頃になって……何かすっきりしないなあ、という思いが残ったものである。
 今回、わかりましたよ、イメージの違いは翻訳にあったのだな、と。考えてみれば、今まで、オースターは原書でしか読んだことがなかったものなあ。意外な落とし穴であった。
 彼の作品は、本国アメリカでよりも、ヨーロッパや日本、つまり、海外での方が評判が高いという噂は何度も耳にしたことがある。翻訳というフィルターがそういう事態を引き起こしている一つの要因である可能性はある。
 念の為に言っておくと、邦訳が悪いとは思わない。寧ろ、良い訳だよな、と思う。けれども、決定的に、手触りが違うんだな。何だろう。訳者がオースターを愛し過ぎることから生じる、被膜のようなものかな。よくわからない。

 オースター好きで、おら原書だば読んでみだことね、って人は、この際、是非とも当たってみてほしい。どう思うかね。

投稿者 zenta : 2005年11月09日 19:08

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