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2006年01月10日

18歳、46年

 塾の未成年の学生先生くん二人と親睦会を行った。ふだん顔を合わすことはないのだが、話聞いてると、ふんふん、中三の女の子の手握っちゃったって?そりゃまずいよ、そういうのは妄想にしとこうよ。え?君は身に覚えもないのに別の中三の子の担当を外されたって?ああ「これ教えたじゃん」連発してクレームついたのっておめえか。相手の心中想像しろよ。時給1300円?上がらないかって?いやあ、仕事あるだけありがたいんじゃないかなあ。わかるけどね。おれも君らのころ、ビヤガーデンで980円いいかげん上げてくれよって思ってた。


 1960年1月10日早朝。世田谷のある郵便局が賃上げを求める労働者達によってロックアウトされようとしていた。代替アルバイトとして雇われていた高校生達も招集された。史男もその一人であった。

「そうだ俺達も賃上げを叫けぶのだ。岸首相がアルバイトには二百八十円だせばいいと言ったというらしいが、俺達も二十上げ一日三百円にしろと叫ぶんだそうだ。俺達はやめるのだ。そしてあらためて彼らと戦うのだ。そうだ俺達は彼らの仲間だ。」

「だがと俺は思う。このストが予想されたればこそ、俺達はやとはれたのではないのか。遅れを取り返し、一般の人に迷惑をかけないためにやとはれたのだ。」

「やめるべきか、やるべきか、やめるべきなのか、やるべきなのであろうか。俺は上司の課長の気持がわかるような気がしだした。立場は違っていても、何所かが通うのだ。
やめろ、やめろ、やめろ、めめろ、やめろ、
否、
やるんだ やるんだ やるんだ やるんだ やるんだ
どうしたんだ。俺のこんとんとする気持の中で、課長のひげづらが女になった。
これはどういうことなのだ、どうだというのだ」

 史男が妄想の中で出したらしきラブレターは、どうやらこの混乱の中、配達されぬまま妄想の中に消えていった。


 46年後、おれたちの朝までの飲み代、え?・・・カードで・・・、は現実。

投稿者 shachi : 2006年01月10日 02:53

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