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2006年04月12日

洋行の恐ろしき

 幸か不幸か、私は外国を訪うたことがない。外国どころか、本州から出たのだって、35年前の一度きり。絶対に行かないと決めている訳ではないけれど、それほどの用向きも熱意も、今のところ、生じていない。

 散り際の悪い花見の後、寒くなってきたので家に戻って引き続き呑んだところ、海外で一年ほども暮らした友人から、たまげる話を聞いた。ロンドンやパリでは、夏の盛りともなると、女性がおっぱい丸出しで町内を闊歩するのだという。おバカンス先の浜辺でってなことではなく町中でかよ、っと、私、大変驚きました。ええ、驚きましたとも。酔っ払って適当なこと言いやがって、などと、突っ込んでみたのだけれども、当人、いや、これはまこと、これは真実、と譲らない。そう言われてしまえば、そうなのかもしれない、と、酩酊した頭が考える。
 もし、本当なら、困りますね。桑原桑原。外国人がどうなのかは知らんけれども、私は戦後の東京、昭和の真っ只中に生まれ育った者、町中で、ぱいおつだしまるの女性が歩いているなんて図は絶対に受け入れられない。おっぱいを忌み嫌っている、とか、そんなことではない。ただ、町中では勘弁してほしい。理屈じゃないよ。
 夏のパリなんざ遊びに行けないね。目の遣り場に困る。見ちゃいけない見ちゃいけない、なんて思うと、余計、そちらに目が行ってしまうのが、人というもの。じゃあ、逆に、がん見すりゃいいじゃねえかってんで、がんがんがりがり穴の空くほどに睨んでしまうのもそれはそれで妙だ。というか、それって変質者じゃありませんか。

 予てから、ジンノガイなんてえものは、ほんと、訳がわからねえと思っていたけれど、町中でおっぱい? 無理っ、と裕梨の口調で即答する私がいる。嗚呼、倫敦巴里が遠退けり。
 しかしですね、幸いなことに、人間には素晴らしい想像力というものが備わっているのであるからして、実際に行かなくたって、何ら問題はござんせんよ。本で読み、映画で観、夢の中で歩けば宜し。我輩はそれで十二分に幸せであります。

投稿者 zenta : 2006年04月12日 20:18

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コメント

 私も海外で一年ほど暮らしましたが、おっぱい丸出しで町内を闊歩ってのには、お目にかかったことないですねえ。休日のハイド・パークとか、セーヌ河畔とかで見たことはありましたが。その人、泥酔してたんでしょうが、嘘ついちゃいけませんねえ。おいらも酔っぱらって似たような法螺吹かないように気をつけなきゃ。

投稿者 shachi : 2006年04月13日 02:42

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