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2006年04月26日

ブルース・ブーム2

 有朋自遠方来。
 近所で呑んでいるんだけどさ、と電話がある。結構忙しいのになあ、と思いつつも、ちょいと顔を出す。御承知の通り、私も嫌いな口ではない。

 ショート・アフロに日サロ焼けとなると、歩き方まで変わりますな。何というのか、ゆったりと弾むような感じで。ゆるゆるの16ビート、スネアは遅めでよろしく、みたいな。
 そんな乗りで歩いていくもので、普段の二倍ほども時間がかかってしまう。まあ、それで良いのだ。日本人のせせこましい時間感覚ではブルースを体現すること能わず。

 近所にありながら、初めて足を運ぶ焼鳥屋。暖簾をくぐり、「Yo man!」と一声を発す。すると、坊主頭で和装のお兄ちゃんが「ぃらっしゃい!」と元気に出迎えてくれる。ほほぅ、今時の焼鳥屋は、ジャズですか。ブラック・イズ・ビューティフル。ブルースかぶれの私を4ビートで出迎えてくれるなんざ、気が利いているね。
 先ずは、私を呼び出した張本人に「Don't work hard, bro!」とハイタッチをかまそうとしたけれど、相手にされず、少し寂しい。初対面の御婦人三人と以前に一度だけお会いしたことのある男性に紹介される。ブルース魂になりきれていない私は、多少照れ臭い気がするものの、「What's up, dude?」と順々にハグしていった。したところ、何とも気まずい空気が流れ出す。何なのよ、このインチキな人……そんな視線が痛い。この状況を乗り切るには呑むしかない。呑むしかない。そうさ、呑むしかない、ってんで、呑みましたよ。呑みましたとも、がんがんががん、と。日本酒を三杯ほども一気にやったら、調子が出てきましてね。honey だのbabyだのと連呼したり、音楽に合わせてスキャットしたり。しまいにゃ、立ち上がって踊ったりして、頗るご機嫌である。楽しい酒は良いね。ほんなこつ、楽しか酒はよかね。

 楽しい酒は良い。ただ一点だけ問題があった。楽しんでいるのは私一人だけだってところ。同席の人々も、店員さんたちも、明らかに迷惑顔。一様に無口、むっつり。はは、楽しいのは俺だけか。ブルース道も生半じゃねえなあ、などと独り言ち、なおも酒を煽り、酒を煽り、気が遠くなる。

投稿者 zenta : 2006年04月26日 18:01

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