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2006年06月20日

ワールドカップ国名呼称考

 日本語の諸外国のカタカナ呼称はけっこう適当だ。ブラジル、イタリアなど多くはほぼオリジナルに近い発音ながら、ドイツは本当はドイチェラント。イングランドはイングじゃないのに。スペインなんかまるっきり英語読み、エスパーニャなのに。まあ、ニッポンとジャパンもひでえ違いなんだけど。
 今大会、可能性は薄いながらも対戦を期待していたカードが2つある。やっぱり実現はしなかったが、コートジボアール対コスタリカ、そしてセルビア・モンテネグロ対トリニダード・トバゴだ。
 私が小学生で最初に手にした地図帳のアフリカの西海岸、カタカナの国に囲まれて「象牙海岸共和国」という目立つ国名があった。5年生ぐらいで手渡された地図ではすでに「コートジボワール」にされてしまっていた。イングランドを「アングル人国」にしろとは言わないが、昨今のカタカナ語の洪水に鑑みれば、「象牙海岸」は残しても良かったんではないか。
 一方のコスタリカは英語にすれば“Rich Coast”。こちらは昔っからカタカナだが、ストレートに訳せば「豊海岸」。といったわけで、
「いやあ、今日の海岸対決、楽しみですねえ、どうですか、ケムラさん」
「いやあ、ぞうげとゆたかは、ゆたかよりぞうげですかねえ」
なんか実況が愉快だ。ちなみにアフリカには今でも「赤道ギニア(Equatorial Guinea)」と呼ばれる国がある。中朝韓を除いて唯一、公式国名に漢字が使用される国だ。だったらエクアドルはスペイン語で「赤道」なんだから、14日の対決は、赤道×豊海岸であった。
「デルガドーっ!セキドーっ!」
 セルビア・モンテネグロ(Serbia and Montenegro)とトリニダード・トバゴ(Trinidad and Tobago)は、ともに「&」が入る。これらの&はただの&ではなく、それぞれ固有の歴史に基づく独特の距離感を背負った&であるはず。激しいユーゴスラビア内戦を経て生き残った前者の&は、つい今月の3日、モンテネグロの独立宣言とともに消滅した。後者では二つの島名を繋げる。キリスト教の「三位一体」を意味するスペイン語 trinidad と、先住民の言葉でタバコ tobacco の語源、この二つの文化を隔て、仲介する&なのだ。これはやっぱりちゃんと訳すべきではないか。
「今日のセルビアとモンテネグロとトリニダードとトバゴの試合、どう予想されますか、ゲムラさん」
「セルビアにモンテネグロのトリニダードもトバゴはあなどれませんよー」

投稿者 shachi : 2006年06月20日 01:29

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コメント

shachiさんってば、サッカーネタで書くとえらく面白いね。
トリニダード&トバゴって、そういう意味があったのか。勉強になりますた。
コスタリカの意味も知らなかったです。

トーゴがアフリカ大陸のどこにあるかを今も知らない私がいてごめんなさい。

投稿者 りんご : 2006年06月21日 06:29

だいじょうぶです。トリニダード&トバゴの由来とか、あたしも昨日知りましたから。

投稿者 shachi : 2006年06月21日 23:57

似たような事を考えてTVを見てるもんで、ウチでもそんな話をしてたよ。世代の違いだが、われわれの時代の地図帳には、「象牙海岸」の近所に「黄金海岸」ってのも在って、偶然だけど今現在アメリカ相手に2-1で善戦してるらしい。
ところで、漢字の国名の唯一の国云々だけど、「UAE]とか「南アフリカ」とかは違うの?

投稿者 guffaw : 2006年06月23日 00:15

UAEの「首長国連邦」はまあ「共和国連邦」みたいなもんだと思いますが、南アフリカ、ありましたねえ。次の開催国ですねえ。東チモールとか、そういうのは勝手に除外しちゃってました。

投稿者 shachi : 2006年06月23日 01:01

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