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2007年03月14日

辻褄

 もはやマスターではないが未だについついマスターと呼んでしまう友人というか先輩のような人から電話があり、底辺と高さがわかっている(直角)三角形の斜めの線の長さを知りたいんだけど、どうしたらいいんだろう、と質問された。
 底辺を二乗して……という具合に教えていき、出てきた答にルートをかけるんですよ、などと。黒板がないとちょっと不便なものでありますなあ。手元に電卓があるというので、結局は、その操作法を伝えることで決着。だらだらと小数点以下が続くのが気にならなくもないようだったけれども、取り敢えずは、ちゃんちゃん。
 それがどう用をなすのかはよくわからないのだけれど、これで計算してみるよ、ということだったので、少しは役に立てたのであれば幸い。

 そう言えば、随分昔、大工の棟梁から三平方の定理と三角関数を教えてくれ、と頼まれたことがあったなあ。きちんと計算できると相当に便利なのだ、というような話であった。
 ルートやサイン、コサインなんてことをあれこれする場合、たいていの場合、きっぱりした数字になりはしないわけで、几帳面な彼としてはすっきりしない気がするようであった。心情的にすっきりしなかろうとも、右下の材木と左上のそれとを斜めに繋いだり、妙な角度で二本の木材をくっつけたりせねばならない現実が存在するわけで、このコンマ何とかかんとかの端数を云々……などと固執することなく、当否は別として、辻褄を合わせなくては家は建たない。

 計算通りにびしびしに辻々褄々が合ったりはしないのが、この現実世界。論理の細部を丸めて、合ってはいない辻褄をやりくりしてその場を凌ぐ。柔軟と評すべきか、いい加減と言うべきか。大雑把な懐。ばさっとつかむ感覚。凄いような、狡いような、美しいような、単に雑なだけのような。兎にも角にも、人間が得意とするところでありましょうなあ。

投稿者 zenta : 2007年03月14日 10:26

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