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2007年08月28日

テツとヤマさん

 風呂上がりで明るいうちから飲みますかということになり、5時ごろ風呂屋に行った。銭湯歴25年の私にもほぼ未知の時間帯である。するとそこは会話がパチンコと競馬だけに特化されたギャンブラー天国だった。夜の部では去年の6月に禁煙になってからその筋の人はめっきり減ってしまい、孤高の老人パチンコさんも今はスーパーでたまに見かけるだけになって淋しいかぎりである。
 風呂上がり、板場では師匠筋のヤマさんがテツに講釈している。
「おれね、新聞も馬体も見ないの。おれのココに入ってるデータだけ。買う馬券は全部本筋よ。ここまで来んのに7年かかった」
「儲かんの?」
 テツは敬語を使わない。
「トータルで損しないよ」
「どんなふうに賭けんの?」
「三千円とか、二百円とか」
「やっぱ本筋に三千円…」
「いや、おれはね、ぜんぶ本筋なの」
「そいで儲かんの?」
「儲かるときゃ、かなりだね」
「やっぱ本筋が来たとき?」
 テツは本筋にこだわる。
「いや、おれ全部本筋なの」
「損したことないの?」
「昔はね」
「やっぱ本筋外したとき?」
「おれね、昔っから全部本筋なのよ」
 テツしばし沈黙。
「昔っから?」
「昔っから」

投稿者 shachi : 2007年08月28日 00:18

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コメント

いいねぇ。
シナリオでこういうデュエットみたいな会話が書けると一人前とされたもんです。

投稿者 guffaw : 2007年09月05日 05:41

恐縮です。あの続きを聴きにまた早い時間に行ってみようと思っとります。延々とあのままな気もするけれど……。

投稿者 shachi : 2007年09月07日 01:14

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