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2008年04月12日

F1

またセナが星になってしまった季節が近づいてきた。イモラの大会は確かゴールデンウィークのころだったと記憶してる。毎年、新緑が美しくなるこの頃に、ヨーロッパの夏へ向かう喜びやひかり溢れる華やかさが、モナコのグランプリの映像を通して伝わってきた。
今年は、初台のオペラシティーギャラリーでF1展が催される。今日から一般公開された。会場には、カクテル光線に照らされて怪しくもきらきら光る、実物の車体が数多く展示されている。Renault R25, BAR Honda 006, McLaren Honda MP4/4, Lotus 77, Ferrari 2005, Williams FW14B, Brabham BT120, Cooper T51。
会場の最初の案内に、F1の各チームがそれぞれ独自の技術とデザインを追求してグランプリに挑むと書かれていた。実は、デザインという言葉に違和感を覚えた。F1は技術の追求であることは知っていたが、時速300キロを超えるスピードと耐久性のぎりぎりの勝負には、それに見合う合理的なかたちがあるだろうと。デザインという言葉に潜在するような、かたちにおける恣意性が入り込む余地はないのではないかと思っていた。ところがどうだろう、実物の車体は、どれも見事なまでに一台一台異なり、徹底的にデザインが追求されている。言葉にならないほどに美しい。技術と密接に関連してかたちが、そこにあらしめられている。恥ずかしながら、ずっとテレビでグランプリを見てきたのに、こんなことを知らなかった。
車体はアルミ板なのだろうか、10mmほどもない一枚の板が、丁寧に形つくられ、エンジンへの空気の取り入れ口となっている。サイドミラーは今にも折れそうなほど細い。
会場には、ひとつのレースが終わると、車体は粉々になってしまうほどの極限の戦いである、というポルシェの言葉が紹介されている。その気迫が、局限への挑戦の迫力が、車体から伝わってくる。
ふと近代の画家、菅井汲(すがいくみ)の硬質なタブローを思い出した。スピードの極限への憧れが、カドミウムレッドの風景を描いたのだ。その赤色は、フェラーリのように疾風するのだ。

展覧会は6月29日まで。http://www.operacity.jp/ag/ 

投稿者 geta : 2008年04月12日 13:45

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