« さらば | メイン | とある1日 »

2005年06月02日

050602

先日、厨子にある神奈川県立近代美術館の葉山館へ行った。本館は鎌倉の鶴岡八幡宮の裏にある。坂倉順三の設計によるとても良い建築である。スケールの美しい何とも言いがたい雰囲気が漂う、まことに味わいのある素晴らしい空間である。1951年開館のこの美術館は、半世紀以上を経て、面積が小さい、設備などの機能的なバックアップが十分でないと言う、現在の要求条件には十分でない場合があるという理由から、分館として葉山館がつくられたのだ。
春に、ハンス・アルプという彫刻家の展覧会が行われた時に訪れたかったのだが機会を逸したため、今回がはじめてだった。湘南ライナーという直通の電車で、渋谷から約1時間、思ったより早く着く。駅からは車で少し走らなければならないが、御用邸の隣接地、海に面する環境は抜群である。至るまで走りながら遠く、相模湾の向こうに、箱根の山々だろうか、幾重にも重なる山の端が、グラデーションも鮮やかに見える様は、一緒に乗っていた若い建築家たちが、感嘆の声を上げるほどである。普段の事務所で明け暮れる毎日に対して、非日常感を受け、流れる時間の速度の違いを感じる環境である。小高い山に向かって常に吹いているのであろう海風をうけて、とびだか鷹だかが、悠々と羽を広げている。車を降りると、あるいは館をひと回りして中庭に出ると、潮のにおいが漂ってくる。波の音とともに、なんともたゆとうような気持ちになるのだ。


神奈川県立近代美術館

投稿者 geta : 2005年06月02日 19:32

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://gokarasu.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/153

コメント

コメントしてください




保存しますか?