2006年11月28日
ヴェローナ—エピソード3
「この部屋はヴェローナの間と申しまして、シェークスピアの“ロミオとジュリエット”の物語の舞台となった街の名から採っております」
開宴の辞として司会者がそう晴れやかにコメントする。
(O Romeo, Romeo! wherefore art thou Romeo?)
(ああ、ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?)
確かに、片方の両親親族全員欠席という披露宴に立ち会ったこともある。誰もいないテーブルに料理だけが並ぶ気まずさ。でもきょうは、みんな晴れやかだよ。
「さあっ、いよいよメイン・キャンドルに点火でございますっ、よろしいですかっ、ではっ、せえーのっ、ワーンッ・ツーッ・ス………」
えっと、ロミオとジュリエットってハッピーエンドだったっけ? 四大悲劇って、リア王、オセーロー、マクベス……と、ロミジュリ? だったっけ?…………
「それでは、明るい未来に向って大きく羽ばたく二人に、盛大な拍手うぉっ!」
ハムレットじゃねっ?
(For never was a story of more woe
Than this of Juliet and her Romeo. —— Exeunt)
(このジュリエットと彼女のロミオほどの
悲しい物語などありえないのだから —— 退場)*woe 悲痛
しかしここはチバ、カシワのヴェローナ。きょう、シャケが遡上してきたんだぜ。ならば物語の最終行は、
(For never was a story of more roe
Than this of Juliet and her Romeo. —— Exeunt)
(このジュリエットと彼女のロミオほどの
魚卵物語などありえないのだから —— 退場)*roe 魚卵
つまり、魚が生まれるのだ。誕生を謳歌する。
投稿者 shachi : 2006年11月28日 04:49
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コメント
人生をowe歌する・・なぁんちて。ーーExeunt!
投稿者 guffaw : 2006年11月29日 11:36